3104丁目のオタク小屋

ゲーム。プラモ。アニメ。マンガ。ウォーハンマー 。たまにその他。役に立たない1000文字系短文駄文です。

『君の名は。』が素晴らしかったマン(ネタバレなし)

前のエントリでも書いたんですけど、ウチって映画ほとんど見ないマンなんですね。でもなんの因果か今月は3週連続で映画館にイン。ノースリーブが眩しい東宝シンデレラガールに3回もお会いするコトになっちゃいましたよ。

で、『シン・ゴジラ』『傷物語Ⅱ』に続いて観た3作目の映画が『君の名は。
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 ご存知、新海誠監督の最新作ですね。

今までもその変態じみた美しい画と切ないストーリーでその筋では超人気、でも一般的にはちょい知名度が低めかなぁ…って印象の方だったのですが、今作で間違いなくその名前は一般の方々にも知れ渡るコトになるでしょう。それほどまでに素晴らしいエンターテイメント作品だったんですね。いやマジで。ホントに。

 というワケで数日経った今でも興奮未だ醒めやらぬ状態なのですが、ウチの乏しい言語能力を駆使してこの映画の素晴らしさをちょこっとだけ書いてみたいと思います。一応ネタバレしない系のつもりですが、もしかしたら漏れちゃうかもしれないので未見の方は予告編程度の情報のまま今すぐ映画館にレッツラゴーして下さいね。もしもこの映画のネタバレ踏んじゃったりしたら、今際の際まで後悔すること間違いなしですから。一応警告はしましたので…それでは感想にいきますね〜。

 ①映像

やっぱり新海監督と言えば、まず頭に浮かんでくるのがその映像の美しさですよね。アニメなのに実写と見紛うばかりの美しさの風景の数々。いや、その美しさはアニメだからこそ出来るフィクションの美しさが加味された現実にはあり得ない風景で、ある意味実写を超える美しさと言っても過言じゃないかもしれません。新海監督の美意識溢れる「光」の描写に彩られた風景のなんと美しいことか。

主人公の住む東京の近代的な街並み、それと対比するように描かれるもう一人の主人公が住む湖と山に囲まれた糸守町の自然…とにかくその美しさにはクラクラしてくるくらいです。

新海監督お得意の、街の雑踏、走りゆく電車、光り輝く水、暮れていく空……それらが今までの作品同様、圧倒的なまでに美しく描かれていて、もうこの映像を観ているだけでウチなんかは幸せな気分になってしまいます。ウチは銀塩カメラの頃から趣味で風景写真を撮ったりしているのですが、新海監督の描かれる風景ってのがまさにウチの好みド真ん中の景色なんですよね。広角風に描かれるビル街の遠景や望遠の圧縮効果を使ったような構図なんてもう大好物。あと写真と無理やり関連させて言えば、写真って極論すれば「光を撮る」みたいなモノなのですが、新海監督の作品もこの「光」をとても丁寧に描いていると思うんですね。その辺りなんかもウチの琴線に触れまくるのかも知れません。

 ②音楽

次に音楽ですが、今作『君の名は。』は今まで以上に音楽のチカラが強かったと思いましたね~。主題歌含め音楽を担当されたのはRADWIMPSですが、コレがもうホントに…抜群に合ってるんですね。そりゃ前からファンだった監督からのオファーを受けたRADWIMPSが、この映画のためだけにガッツリと作り込んだ楽曲群なのでマッチするのはわかりますが、ここまでビタっとくるとは……もうビックリです。今まででも…例えばBUMP OF CHICKENが某ゲームの主題歌として作った「カルマ」や某アニメのOPに作った「Hello,World」なんかは、原作の世界観を見事に表現した傑作曲だと思っていたのですが、今回のRADWIMPSの楽曲群はそれを超えちゃった感がありましたわ。

ウチはこのRADWIMPSというバンドのことは今まで名前くらいしか知らなくて、今作で初めてちゃんと聴いたのですが、主題歌「前前前世」にはもう鳥肌立ちましたよ。疾走感溢れるキャッチ―なメロディも素晴らしいですが、何と言っても歌詞が素晴らしい。4:44というわずかな時間の中に2時間弱続くこの物語を見事に凝縮して歌い上げるんですね。そんな素晴らしい歌が劇中の「ここぞ」ってトコロで流れるんですから…もう堪んないワケなんですよ。他にも「スパークル」や「なんでもないや」といった名曲が要所要所で流されて、今でも思い出すだけで、高揚感、焦燥感、喪失感、陶酔感等々の様々な感情がズルズルっと引っ張り出されてちょっとキツいくらいです。

……気付けば劇伴じゃなく主題歌のコトばっか書いちゃいましたが、まぁそんだけ刺さっちゃったってワケです。ただみんなに刺さりすぎたせいか、サントラの初回盤があっちゅーまに売切れちゃって買えなかったのが……つらいです。なんてこった!!

 ③ストーリー

「映像」「音楽」ときて最後に「ストーリー」なのですが、今回いい意味で一番裏切られたのがこのストーリーでした。予告編を見た限りでは、主人公の男女の入れ替わりをメインにしたコミカルなタッチだけど、途中からよくあるエモい感じに繋がる恋愛映画なのかなぁ…くらいにしか思っていなかったのですが、観てビックリ、コレが超エンターテイメントしているんですよ。

今までの新海監督作品といえば、個人的には「娯楽作品」っていうよりも、様々な理由ですれ違っていく男女の機微を抑えた台詞と美しい描写で描く、どちらかと言えば静かで詩的な感じの作品というイメージが強かったんですね。だから「映像は凄いけどあんまり一般受けはしないだろうなぁ…」って思っていたんですよ。

それが今回の『君の名は。』では、「すれ違う男女」という詩的な新海節はそのままで、見事なエンターテイメントに仕上げちゃってるんですね。もうコレがホントに凄い。

もちろんエンターテイメントしている作品だから、今までの作品より素晴らしいなどと言うつもりは毛頭ないですし、今までの作品にもそれぞれの作品にしかない素晴らしさがあると思っています。全部大好きですしね。でもやっぱりエンターテイメントしている方が色んな人に届いて次に繋がるとも思うんですよ。

あんまり書くとネタバレになるので詳しくは書きませんが、事前に持っていた「ま、いつもの新海節でポエティックな感じなんでしょ?」というウチのヨユーぶってナメた感想は、序盤のテンポの良いコミカルな展開(主人公二人の声を担当されていた俳優さん?の演技の素晴らしさには脱帽でした)、そして物語中盤に訪れる衝撃の展開で見事にブッ飛ばされて、あとはもうラストまでただひたすらに惹きこまれるのみ。ラストシーンは本当に祈るような気持ちで食い入るようにスクリーンを見つめ、そして……最後に訪れるポスターにもなったあの場面。
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もうね。年甲斐もなく感動。嫁ちゃんは隣でウチのTEEシャツの袖をぐっちょぐちょにしながら号泣。ウチも何だかよくわからない気持ちに胸がきゅーっとなっちゃってツラいくらい。今、書きながら思い出しても、まだ気持ちがざわざわして少し落ち着かなくなってシンドイですもん。最後に少しだけネタバレ的に書かせてもらえば、今作のラストは今までの新海監督の作品のような「観た人がそれぞれ考えてくればいい」みたいなラストではなく、もっと明確で力強いラストになっています。ウチは今までのどこか切なく心に引っかかり続けるような終わり方も大好きでしたが、それでも今作のこの力強い終わり方は素晴らしいなぁ…と思うワケなんです。

 なにはともあれ、ホントに素晴らしいエンターテイメント作品になっているので、少しでも興味がある方は、ネタバレを踏んじゃう前に観に行くコトを強くおススメいたしますわ。

 

というワケで……以上、簡単ですけどウチなりに『君の名は。』について(ほぼ)ネタバレ無しで感想を書いてみました。

ホントはもっとアレやコレやと色々と垂れ流したいのですがネタバレになりますし、ウチの文章力ではとっ散らかって収集つかなくなりますのでこの辺にしておきます。

でもこの『君の名は。』という物語は、間違いなく色んな人の心に届く作品になったとウチは思ってます。

今までの新海監督の作品のファンにはもちろん、どこか物足りなく思っていた人にも、そして新海監督のことを全く知らなかった人にも、みんなに届いてみんなの心に何かが残る……そんな素晴らしい作品になったんじゃないかなぁ…ってウチは思うんですね。そして、この素晴らしい作品を産み出してくれた新海監督と全てのスタッフの方々に感謝の気持ちで一杯です。

自分の心に深々と刺さる、そんな作品に出会えることがどれほど幸せなことか。本当にこの作品に出会えて良かったと思ってます。

ヒトの好みなんて千差万別。ソレをわかった上でも……一人でも多くの人に観て欲しい。そんな映画でしたわ。ホントに感謝。