3104丁目のオタク小屋

ゲーム。プラモ。アニメ。マンガ。ウォーハンマー 。たまにその他。役に立たない1000文字系短文駄文です。

【旧駄文】『ムーンライトシンドローム』大好きマン。

1月もあっちゅーまに終わっちゃいましたね。
2月に入り、日が落ちるのも遅くなってはきましたが、帰る頃にはまだ真っ暗です。 毎日渋滞の中、赤いテールランプをボーッと眺めながら帰る訳です。 …アンニュイですねぇ。 

ウチは業務の関係で大阪から京都、奈良の間を毎日走っているのですが、 京都に行くときは、だいたいは国道1号線を利用してます。お荷物部署なので、高速などというステキなものは使えません。 トラックやダンプと戦いながら、過酷な一般道を日々疾走しているのです。 …やっぱりアンニュイですねぇ。 

その過酷な1号線を京都から大阪に向かって帰る時に、いつも目につくマンションがあります。 ちょっと小高い場所にあり、夕方や夜に運転しながら見ると、 何というか空にシルエットが浮かんで見える感じなのです。 

そして、そのマンションを見るたびに、何故か連鎖的に思い出すのが、プレイステーションで発売されていた『ムーンライトシンドローム』というゲームです。
ゲームに詳しくない方は「なんじゃそりゃ?知らないなぁ」でしょうし、ゲームに詳しい方は「ああ、あれね。何かクソゲーらしいね」となるでしょう。
そして、実際にプレイした不幸な方は、ちょっと遠い目をして悲しい気分になってしまう。…つまりはそんなゲームです。

ちょっと説明しますと、同じくPSで発売された『トワイライトシンドローム』というゲームがありまして、個人的にはすごく想い出深いゲームなんですね。
主人公である女子高生3人組が、町の様々なオカルトな噂話の真相を究明していくというアドベンチャーゲームで、シナリオ中の行動により各シナリオのエンディングが変化する。
正しく行動すると事件の真相がわかり、間違った行動ばかりだとバッドエンドでゲームオーバーになる。まぁよくあるタイプです。 

ただ題材でもある「オカルト」を上手くシステムに取り込んでいて、心霊写真が撮れたり、「フライトレベル」という恐怖度のようなゲージがあり、恐怖度が上がる行動ばかりとると、気絶、死亡でゲームオーバーになったりと、ちゃんとゲームになっていたんですね。
肝心のシナリオの方も、主人公3人組のキャラも立っていたし、各シナリオも興味深いものが多くて、引き込まれるようにプレイしたのを覚えています。特に最終シナリオ「裏側の街」は本当に大好きだったなぁ…

で、全部で10あるそのシナリオを、全て「大吉」(グッドエンド)でクリアすると、最後の「Prank」という隠しシナリオが解放されるのですが、これが続編『ムーンライトシンドローム』につながっている訳なんです。というか、まんま『ムーンライト』のシナリオの一部なんですが。
この隠しシナリオ、オマケ程度の短編シナリオなんですが、なんちゅーか…「不穏」なんですよ。色々と。
今思えば、この隠しシナリオで予想するべきだったんですけどね。…『ムーンライトシンドローム』がどんなゲームになるのかは。

さて、いよいよ本題の『ムーンライトシンドローム』です。

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はい、無駄にシャレオツなパッケージ。すでになんか腹立ちますね。

えー、感の良い皆様には、ここまでの雰囲気で察して頂けたと思いますが「良い」か「悪い」かでいえば「ヒドイ」の一言です。手加減なしの酷さです。というかコレ、そもそもゲームじゃないですから。一応選択肢らしきものもあった気がしますが、どれを選んでも結末は一緒です。否応なくぶっ壊れた物語が進んでいきます。

『トワイライト』の時のような、「この場面はどうしよう…うーん、どれにしよう?」みたいなドキドキ感やワクワク感、甘酸っぱいトキメキ感なんぞ皆無です。
もちろんマルチエンディングなんて洒落たものもありません。ただ狂ったストーリーが展開されるのを見るだけです。

そのストーリーもスゴイです。
というか、このストーリーこそが『ムーンライト』が「問題作」と言われる所以でしょう…
一応『トワイライト』の続編的位置づけなので、前作の3人組も出てきますし、そのうちの一人「ミカ」が今作も主人公となっています。
ただ前作のような「ちょっとイイ話」みたいな軟弱なシナリオはありません。徹頭徹尾狂ってます。清々しいくらい狂ってます。前作のあのハッピーエンドがなんでこうなっちゃったのか…
だってあの主人公達、惨殺されちゃうもん。よくわからん展開で。多くの『トワイライト』信者がトラウマになっちゃったのも良くわかります…

少なくとも『トワイライト』が好きで、あの世界を求めて『ムーンライト』を購入した人たちが求めていたものじゃなかったことは確かでしょう。
何というか、期待して走ってきたファンに、カウンターでラリアットをぶち込むような予想を超えた素晴らしい展開が最後までノンストップで待っています。最後にはなぜか神様まで出てきます。
板垣センセイ風に言うところの「予想を裏切り、期待も裏切る」スゴい展開に震えます。

予想を超えたといえば、3人組以外の新しい登場人物、これがまたスゴイんです。
もう一人の主人公である「崋山リョウ」を筆頭にマトモな人物がほとんどいない。
全員が何かしらの狂気をはらんでいます。…カッコよく言いましたが、要するにキ○ガイばかりということです。

例えば上記の「華山リョウ」。
全身黒づくめ、いつもポケットに手を入れて歩く、チョッピリ『メンズナックル』風なナイスガイ。

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まぁこういう人っぽいですね。

実のお姉ちゃんを愛しちゃってて、排他的で人と交わらない性格。お姉ちゃんが死んだ後は、お姉ちゃんと瓜二つのミカにお姉ちゃんの面影を重ね、ストーキング開始。…だいぶこじらせちゃってますね。

ついでにあともう一人、これまたキーパーソン「冬葉スミオ」さんもご紹介。
リョウ君のお姉さん「キョウコさん」とお付き合いしてたけど、キョウコさんもリョウ君を愛しちゃってたので、あえなく破綻。でも破綻したことに納得が出来ず、複数の女性をサンプルに自分の寝技が問題ないことを確認。サンプル相手に自信を取り戻した後、何故かリョウ君に「君に執着していこうと思う」と意味不明のアプローチ。コチラもなかなかの仕上がりです。挙句の果てに、発狂したサンプルの一人の無理心中に巻き込まれていきなり焼死。
…読んでても意味わかんないですよね。書いてても意味わかんないですもん。

つまり、こんな風にぶっ壊れた登場人物とぶっ飛んだシナリオが禁断の悪魔合体したような作品。それが『ムーンライトシンドローム』なのですよ。

とまぁ、ここまで散々ボロクソに書いてきましたが、実はこのゲーム…ウチは大好きなんですよ。
「良いゲーム」「悪いゲーム」かなら、間違いなく「最悪のゲーム」だけど、「好き」か「嫌い」かで言えば「大好き」なんですよねぇ。ホントに。

上手く言えないけど、このゲームの手触りというか肌触り、感触みたいなものって、唯一無二のもので、他のゲームからはまず味わえない。てかもう味わいたくない。
実際はどうなのか知りませんが、このゲームは「エンターテイメント性」というゲームにとって必要不可欠な要素を、無視して作ったとしか思えません。
ただ、そのことによって製作者の「作家性」みたいなものが、このゲームからは凄く漂ってくるのですよ。「尖ってる」とでも言いますか…それが、このゲーム独特の存在感に繋がっていて、ウチを惹きつける訳です。

といってもあくまでも個人的なものなので、他の人が手を出そうとすれば全力で止めますよ、ウチは。
だって面白くはないもん。大好きなんだけどね。
ただね、ラストに流れるED曲はホントにいいから、人生を8時間くらい無駄にしてもいいヒトは、ED曲の為だけにプレイしてもイイかもしれません。
それでもやっぱ…オススメはしませんけどね。